先日の記事に書いた知り合いの犬、約10年ぶりの再会でした。
今秋で15歳になります。
今回、初めてこの犬を聴診したところ、かなりの心雑音です。
心雑音のレベルは Levine分類 5/6 。
少し専門的な話になりますが、
Levine分類とは心雑音の強さを評価する方法のことです。動物医療では触診を加えた6段階で評価されることが多いです。
1/6 静かな部屋で集中してやっと聞こえる、小さな雑音
2/6 聴診器を胸壁にあてるとすぐに聞こえる、弱い雑音
3/6 聴診器を胸壁にあてるとすぐに聞こえる、中等度の雑音
4/6 聴診器を胸壁にあてるとすぐに聞こえる、強度の雑音
5/6 触知可能なスリル(雑音振動)を伴う、強度の雑音
6/6 触知可能なスリル(雑音振動)を伴い、聴診器を胸壁から離しても聞こえる、強度の雑音
心雑音の存在を知って、飼い主も驚いたかもしれませんが、わたしも大ショックでした。
なぜなら飼い主は、元医療関係者で、聴診器を持っている人だったから。
私は事の重大さを認識してもらうべく、犬にチェストピースを当てたまま、飼主に実際に心音を聴くよう促しましたが、聞く気にはなれないようでした。
おそらく、まだ心不全症状がみられず、1日2回の散歩も難なくこなしていたので、これまで聴診器を当ててみようと思ったことがなかったのでしょう。
また、主治医の先生からはこれまで一度も心音について指摘されたことは無かったそうです。
ただ、家では大人しくても、動物病院では体重測定すら手こずるようなバタバタさんらしいので、動物病院の診察台上での聴診は実際、難しかったのだと思います。
正確な心音の聴取には、動物が落ち着いていることが大前提。
犬の場合、興奮等でハアハアが激しい時の聴診は、心音が呼吸音にかき消されてしまうので、少し飼主さんにお口を閉じてもらって、その間に心音の確認をすることもあります。
猫の場合は、喉のゴロゴロ音が心音を消してしまいます。
ゴロゴロ音を何とかしてを止めたいのですが、診察台の上でもゴロゴロ云ってる猫ちゃんは、人見知りなんて全然しない、余裕の大物だったりするので苦労します。
口笛を吹いたり、巻き舌してみたり、水道の水をジャーッと出したりすると、気を取られて一瞬だけゴロゴロが止まる・・・なんてコトもありますが、全く通用しない「猫様」もいます。
聴診器をお持ちでない方が殆どだと思います。
動物が許容してくれるなら、人間の片耳を直接胸壁に押しあててチャレンジしてみてください!
以外と聞こえるもんですよ。
「じゃあ心臓の位置は胸のどこよ?」ってコトですが、
ざっくり言うと、「脇の下の、腕を曲げた時に肘が当たる場所」です。
その部分に「手のひらを当てて心臓のドキドキを強く感じるところ」に耳を当てることが出来ればOKです!横になっている動物に静かに声かけしながら、そーっと挑戦してみてください。
聴診器の歴史について検索していたら、こんなサイトをみつけました。
調子こいて久々に糸電話をつくって、聴診を試みましたが、ぜ~んぜんダメでした。わざわざ100円ショップで一番小さい紙コップを購入したんですけどね~
もしご家族に医療関係のお仕事をされていた方がいれば、聴診器をお持ちかもしれませんよ。
眠っている聴診器があったら、ぜひ活用しましょう!
聴診器だってきっと喜ぶはず。
よくわからないなりにも定期的に聞いていれば、変化が出てきたときに早期治療に繋がるかもしれません。
(F.Yoshinaga)